【労働対策担当・前川進】8月7日、建設アスベスト東京1・2陣訴訟において、建材メーカーと原告との間での和解が成立しました。1、2陣あわせて原告446名に対してニチアス、太平洋セメント、A&AM、MMK、ノザワら被告建材メーカーが謝罪し和解金約51億円を支払う内容です。
首都圏建設アスベスト訴訟は、多数の被災者ら原告団、弁護団、そして東京土建はじめ支援組織が団結して「謝れ、償え なくせ アスベスト被害」を目標に長年にわたり取り組んできました。東京1陣訴訟は、2008年に国及び建材メーカーらを被告として東京地裁に提訴し、2021年5月に国の責任を認める最高裁判決が言い渡されましたが、建材メーカーについては東京高裁に差戻されていました。東京高裁は昨年12月に和解案を提示しましたが、すでに提訴から17年が経過し、被災者の9割以上が亡くなっています。
和解当日の報告集会で弁護団の代表弁護士は提訴当初を振り返り、この訴訟は何年かかるか問われて「3年、ひょっとすると5年はかかる」と答えたそうです。それが17年もの長きにわたるたたかいとなり、原告の取り組みと支援組合の仲間を想う団結と支援に強い感謝を表していました。
和解内容は、 1審被告建材メーカー7社が石綿含有建材の製造販売について警告表示義務を違反したこと。及び共同不法行為責任を認めて、和解に応じたことです。被告メーカーは「石綿関連疾患による甚大な被害を生じさせたことについて深くお詫びする」と表明しています。また判決文では「現在継続中の同種訴訟を含めた関連する事案において、双方が今後とも引き続き、早期解決に向けた真摯な努力を継続することを強く期待する」とあり、今後、全国の関連訴訟の「早期の全体解決」を促進するものとなります。
一方、屋外作業者また改修解体作業者については建材メーカーの注意義務は認められておらず、引き続きこれらの裁判での取り組みを継続していきます。
現在、建設アスベスト給付金制度により、8500名を超える被害者に国から給付金が支払われています。今回の和解を契機にして、私たちはあらためて建材メーカーに建設アスベスト補償基金への拠出を義務づけ、全てのアスベスト被害者が裁判によらず早期救済を可能とする給付金法の改正を求めていきます。